GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

いま始まる 新しいいま

「いま始まる 新しいいま」  川崎洋さんの詩

きのうしらなかったことを きょう知る喜び
きのうは気づかなかったけれど きょう見えてくるものがある

 こんな思いを持つことができる日々を、たしかな足取りで過ごしていけたら 素敵ですよね。
 いま、私が支援させていただいている「チャレンジ職員」の皆さん方は、それぞれの職場(学校)で、日々力を尽くしている毎日が、こうした日々であるといいなと思っています。

学校事務室での業務は
「初めて」という方がほとんどです。

 苦しいことや難しいこと、困難なことに出会うこともあるでしょう。
 思うように、願うようには物事が進んでいかないこともたくさんあると思います。
 人には理解してもらえないこと、話しにくいこともあるでしょう。
 様々な思いの中で、日々頑張っている皆さん方には、「いつもいつも 新しいいのちを生きよう」 という思いを抱いて、力強く生きていただきたいとの願いを持っています。

チャレンジ雇用の概要

◇「業務の切り出し」の工夫と配慮したいこと
 支援のための訪問をしている中で気づくことですが。多くの場合において難しい問題となるのが「業務の切り出し」と「コミュニケーション」であると思います。一般企業の場合においても、障がいのある方をせっかく雇用しても、この二つがうまくいかずに退職してしまうケースが多いと言われています。
 この「業務の切り出し」と「コミュニケーション」という両者について検討することは、障がい者の就労環境を良くするということだけでなく、企業全体にとってのメリットが実に多いと言われています。それでは、具体的にどんなメリットがあるのかについて、これまで出会った事例から拾ってみたいと思います。

〔業務の切り出し〕 
 就労しているということは、業務があるということです。
 業務が少なすぎると、働く人のモチベーションは続かないものです。しかし、適時に、適切な内容と量の業務を…というのがなかなか難しい。
 一例として、既存の社員(職員・教員)が、後回しにしがちな仕事をフロー化して業務として切り出すという手だてをとることによって、双方の生産性の向上に繋がった例があります。
(教職員が)「後回しにしてしまいがちな仕事」。
 自分もいくつも覚えがあります。ただ、教職員としては、任された校務分掌について「自分で(自分の責任において)処理していくべきもの!」 と考えている人も多いと思います。それが教師としての責任感であり矜持であるということもあります。それはそれで大事なことだと思います。しかし、今は、学校も「組織として動いていくもの」とした認識がなされるようになっています。学校としての生産性、教育力を向上させていくためには、多くの職員の連携による取組、チームプレーが必須のものである、という認識が必要であると思います。

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 私も、現役時代を振り返ってみると、ついつい後回しにしてしまうことが多々ありました。この作業を「サポートしてくれる方があればうれしいなあ」 「そうするとこちらに時間を回せるなあ」と思うこともたくさんありました。コロナ対応のこともあり、さらに多忙感を増している教育現場であると思います。双方のメリットとなるとともに、になる業務の切り出しを進めていくことを、これからも伝えていきたいと思っています。


◇経営者が考える 障がい者雇用のメリット

 これまでの活動の中で接触してきた企業の方々とお話をさせていただく中で、「障がい者雇用」に関する工夫事例を示してくれた会社経営者の皆さんは、そのメリットについて、次のことを挙げています。
➀ 地域貢献と企業イメージの向上につながった。
➁ 職場の雰囲気が明るくなった。
➂ 人材育成のスキルを身に付ける契機となった。
➃ お互いに気遣い合う空気が生まれ、社内の雰囲気が良くなった。
➄ 周囲に声を掛け合う社員が増え、社内の雰囲気が良くなった。
➅ 他のものでは続かなかった職務に、障がいのある社員が継続して取組み、成果を出している。
➆ 職員全員の人材育成につながり、組織に多様性が生まれ、企業全体の離職率が下がった。
➇ 障がい者雇用に取組んだことが他のサービスを考える契機となり、新規事業展開に繋がった。

 多くの経営者が、障がい者雇用を進める中で、「雰囲気が明るくなった」「会社の雰囲気がよくなった」「お互いを気遣う空気が生まれた」ということを実感していることを語っています。

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 学校でも同じでした。「障がいのある子どもが在籍する学級には大きなメリットがある!」 ということは、私は、前職にある時にいくつもの学級担任をしてきた経験からも確信をもって言うことができます。
 教員も児童生徒も、そして保護者の皆さんも、障がいのある児童生徒と、ともに生活し、ともに学ぶことによって、それぞれにとって、本当に大きな学びと喜びがあります。
 もちろん常に順風満帆といくわけではありません。大変で厳しい局面にぶつかることもあります。とくに発達障害傾向の障がいを持つ児童との間では、大きな軋轢や対立場面が出現することがあります。双方が受入れや相互理解を拒否するような場面や、お互いのストレスが高まる局面を迎えることもしばしばありました。
 しかし、それを乗り越えようとするとき、学級集団としても、一人一人個人としても、大きな成長と学びがあるのです。相手の願いや思いを理解しようとすること、相手の痛みや苦しみに共感的に寄り添おうとすること、自分の心の動きを見つめ振り返ろうとすること…。その経過において、そこに集ったすべての人々に、実に様々な学びがあるのです。
「あなたが いてくれたから」… 気づくことができた自分の心の内にある差別や偏見、弱さ、偏狭なものの見方。そして、それらを自覚してそれらを乗り越え、克服していこうと共に歩もうとすること。そうしたかけがえのない成長の機会を与えてくれたのは、「あなたが、ここにいてくれたから」です。
 学校と営利企業は、その存在意義や使命はもちろん違います。しかし、「誰もが学びやすい学校(学級)」 が、より高い教育力を発揮していることと同様に、「誰もが働きやすい企業・会社(職場)」が、より高い生産性を発揮するのではないでしようか。