GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

感覚過敏とHSP・HSC

「感覚過敏」について

「わたしは、周りの音や人の話し声、とくに大きな声や叱責の言葉がとても気になってしまい、不安になったり、物事に集中できなくなったりすることがよくあるのです。」
 教員として小中学校に勤めているとき、子どもたちやその保護者の方から、このような相談を受けたことがありました。相談をうけなくても、このような状態にあるのかなと思える子どもたちにも出会ってきました。周囲からの人の声や様々な音が頭の中に入ってきて、ひとつのことに集中できない、という訴えです。
 学校勤務時には気を付けていたことですが、いわゆる「発達障がい」の傾向がある児童生徒には、「感覚過敏」の傾向が多く見受けられました。これは成人においても同じことです。 
「感覚」というと、『五感=視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚』となります。「感覚過敏」は、これら五感の一部、または複数からの刺激を過度に感じることで、苦痛や不快感が生じている状態を指します。症状や程度は人により様々ですが、感覚過敏の人の多くが日常生活においてストレスを感じていると言われています。
 目や耳や鼻などの感覚器に先天的な異常がある場合など、幼少期から感覚過敏を自覚している人もいます。しかし、不安やストレスが原因で、大人になってから症状に悩む人もいます。こうした「大人の感覚過敏」では、私生活のみならず、仕事などの社会生活においても悩みを抱える人が少なくありません。

HSP・HSC
 近年、感覚過敏に関連して「HSP・HSC」と呼ばれる人も認知されつつあります。
 HSP・HSCとは、繊細であるがゆえにストレスを抱え込みやすい、「敏感さ」を持つ人のことです。ただし、HSP・HSCは、人の気質(その人が生まれながらに持っている感受性や気分の傾向などを指す心の特徴)を表すための名称であり、医学的な診断名として認証されているわけではありません。

HSP  HSC   = The Highly Sensitive Person/Childの略
 刺激に対する「深い認知的処理」と「高い情動的反応」を持つ人のことで、その様な高い敏感性を「感覚処理感受性(sensory-processing sensitivity)」と呼びます。今日の研究が示唆するところによると、感覚処理感受性(SPS)は生得的なものであり、人類の15 - 20%に見られる性質であるとのこと。
 感覚入力処理が通常よりも深いという点で特徴付けられ、それにより些細な事柄に対する気づきやすさを生んでいます。合わせて、他の人には気にならない程度の感覚刺激によって容易に興奮してしまうという現象も、必然的な結果として生じています。テッド・ゼフによる定義では「五感が鋭く、精密な中枢神経系を持ち、良い刺激にも、悪い刺激にも強く反応する感受性の強い人達」とされています。

○ ひとりひとりの五感に配慮した職場づくりを進めましょう
 感覚過敏に対する困り感は切実な場合も少なくありません。教員時代に様々な児童生徒に接してきましたが、自分の経験や感覚やでは想像できない悩みや苦しみ、生き辛さを抱えていることに気づくことができないことが度々あったと反省しています。もっと配慮できたことがたくさんあっただろうと反省の思いが残ります。「シャワーの強い水圧が痛い。」「服に付いたタグが痛い。」という児童もありました。
感覚過敏は、その過敏さと苦しさが、他人には理解してもらいにくいと思います。それゆえに、どうかすると、本人の甘えやわがままと捉えられてしまうこともあります。そうではなく、周囲の皆さんで、障がいとして認識していくとともに、「合理的な判断のもと」に「必要な配慮を講じていくこと」ができるようにしていくことが大切であると思います。こうした特性を持っている方について理解を深め、受け止めていくことに努めていくことが大切です。皆さん方の各職場では、それぞれの実情に合わせながら、様々な工夫や配慮を進めていただいているところだと思います。今後、折に触れて、合理的配慮について、実例を紹介していきたいと思います。