GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

かなしみを わかってくれるひと…

かなしみを わかってくれるひと…
 先日、児童文学作家の那須正幹さんがお亡くなりになられました。被爆体験をもとにして、戦争や原爆をテーマにした作品もたくさんあります。そして、日本中の学校図書館には配置されているであろう、「ズッコケ3人組」シリーズがあります。
 明るいユーモアに満ちた作品で、子ども達の熱い支持を受けてきました。このシリーズが発表された時には、自分は既に大学生の頃で、子ども時代にリアルタイムで読んだわけではありません。しかし、教員となり、このシリーズを楽しそうに読んでいる子どもたちを見つめ続けてきました。
 6年生のハチベエハカセ、モーちゃんを主人公にしたシリーズ。こうした3人…どのクラスにもいるようなキャラ設定が人気の理由かもしれませんね。26年間にわたり発表されていましたから、親子2代の愛読者もいることでしょう。
 このシリーズには学校生活の様々な行事や出来事を舞台とした様々な作品があるのですが、その中でも私にとって特に印象的なお話として『花のズッコケ児童会長』という作品があるんです。
 児童会長選挙にからんだ喜劇が展開されます。このシリーズならではの荒唐無稽でドタバタな所もありながら、時々サラリと、大事なところ、考えさせられるところを突く展開や言葉が出てきます。それらを発見し、ただのドタバタだけでない奥行きのある魅力を楽しめるかどうか…。それは読み手の子ども次第なところがあるシリーズだと思っています。
 さて、本作『花のズッコケ児童会長』では、そのストーリーの中で「弱虫でおとなしくて根性がない」という設定の男子が応援演説をする場面があります。その場面、彼の演説がとっても大事なところを突いているように思うのです。
 『児童会長になる人は、いろんなひとの気持ちがわかるひと、なかでも、ぼくみたいな気の弱い子、からだの弱い子の味方になってくれるひとが、いいんじゃないでしょうか。勉強のできるひとより、勉強のできないひとの悲しみをわかってくれるひと。』 
 児童会の活動に絡んで、子どもたちに紹介したことがあります。
 その時、思いました。教師という職業も、同じじゃないかなあ…と。
 子どもたちの、私たちの心を温め、潤し、耕す、素晴らしい作品の数々を遺されたことに、心より御礼を申し上げます。有難うございました。
 
 
 
 
 
 
 
 
武石 浩明、渡