手のかかる初心者ライダーとの ミラー見るばかりのツーリング二選 その② 中山道木曽路 野尻宿(大桑村)珈琲「刀」
9月10日(土)
本日は自宅から塩尻峠へ。本日は木曽路を南下して、ミラーで様子を見ながら適当なところから戻る予定です。帰りは権兵衛トンネル経由として、伊那から高速道路走行を体験させることも含めています。
特に不安定な様子もなく、塩尻峠を越えて塩尻市街を抜けていきます。国道19号は交通量も少なく、車の流れに乗って快適に進みます。洗馬の近辺にはオービスがあります。かつて夜走りを盛んにしていた某ライダーの語るところでは「目の前が真っ赤になった」というほどの光を浴びたそうですが、バイクでは違反通知が送られてくることはなかったということです。時効ではありますが、今は至る所にカメラ設置がありますから、バイクといえども車両特定は困難ではないでしょう。心して走りたいと思います。
さて、娘に限らず初心ライダーに有りがちなことのひとつに「視線が近すぎる」ことがあると思います。今日はその点を修正するために、緩やかな起伏のある直線に近い道で見通しがよく、適当な感覚で左右からの合流があるようなルートをチョイスしたのでした。
まだ暑さは残るが、秋の気配を感じることができる木曽路の景観です。昨年の秋にも娘と木祖村周辺にツーリングに来ているのですが、秋の木曽路は本当に趣があります。もう少ししっかりと走れるようになったら、御岳山麓、開田高原、そして飛騨へと抜けるルートにも案内してあげたいと思います。
贄川宿、楢川宿、奈良井宿等々を通過して木曽福島、上松を通過していきます。途中、道の駅もたくさんあるのですが、軒並みスルーして先へ進みます。ミラーで確認する限り集中力に途切れはないようです。そうこうしているうちに大桑村に入りました。国道19号から右折して旧道に入ります。奈良井宿のように観光地化されていませんが、そこかしこに宿場町の名残を見る野尻宿をゆっくり進みます。やがて右手に、玄関前にカタナが置かれている古民家が目に留まりました。これが本日の目的地のひとつ、珈琲「刀」です。
◇野尻宿 http://www.kisoji.com/kisoji/feature/nojiri.html
◇珈琲 刀 https://coffeekatana.wixsite.com/cafe
店先で娘のバイクの停車サポートをしているとマスターが出てきてくれました。駐車場を案内していただき、娘のNinjaはカタナの隣に、私のGSは少し離れた駐車場に置きに行きました。
ご夫婦で切り盛りされている「珈琲『刀』」は、三年ほど前にここ野尻宿でオープンしました。古民家を改装した味わいあるお店です。カタナのほかにも、店内にはドゥカティやメグロの綺麗に磨かれた車両がさり気なく置かれていました。
ここで一服。ローストビーフ・サンドイッチとアイスコーヒーをいただきました。それにしても、カフェに来るのに「財布わすれちゃった」とはどういう了見だ!
ご夫婦ともにバイクに乗られるとのことで、カタナは、もともとは奥様が乗っていらしたとのこと。明日は浜松でカタナオーナーの集会があるので臨時休業とのことでした。
ゆっくりと寛げる時間を過ごすことができました。ここまで自宅から約80Km=50mile ちょっとコーヒーを飲みに来るには最適な距離ですね。娘同伴でなければ、帰り道もいろいろなバリエーションを取ることができます。これからも出かけて来たいと思います。
さて、帰途に就きましょう。娘のNinjaを出すとき、大切なカタナを傷つけないようにサポートします。カタナと古民家…なんか妙にマッチしています。考えてみれば、カタナももう40年の歴史を背負った一台であり、未だに色褪せないデザインの中にも、レトロな雰囲気も併せ持っていますからね。
ワタシは少し離れたGSところに行って、駐車場から道路に出たところでカフェの前で娘の写真を撮りました。その後、出発しようとしましたが、Ninjaは発進しません。ミラーを見ると娘がバイクにまたがったまま手招きしています。どうかしたかいな…と思って歩いていくと、「出ようと思っているけどエンジンが止まっちゃう」と言っています。
「サイドスタンド見てみ」┐(´∀`)┌ヤレヤレ
そんなこともありましたが、帰りも比較的順調でした。
帰りは権兵衛トンネルを通過して、伊那から高速利用にて帰宅することにします。途中、工事区間で少々渋滞したほかは快走できるルートです。
高速に乗る前に少々注意点を伝えておくことにしましたが、なんとNinjaのETC車載器にカードが入っていないことが発覚! GSのETCカードをNinja車載器に移しました。私も本当に久しぶりに通行券と料金の受け渡しをいたしました。
伊那インターから岡谷インターまでは快走。Ninjaも危なげなく走行していました。
午後の早い時間に自宅帰着。
帰宅した時、娘のバイクを見た母の言葉 「ミラーもレバーも付いてるね!」
本日は立ちゴケもありませんでした。
少しずつですが、進歩はしているようです。
手のかかる初心者ライダーとの ミラー見るばかりのツーリング二選 その① 女神湖とビーナスライン
「手のかかる…」とは誰の事あろうウチの長女です。バイクに乗ることを奨めも禁止もしませんでしたが、3年ほど前、突然「(普通二輪の)免許取ったー!」と言ってきました。私も家内も「は…??」というリアクションをするしかなく、いつ教習所に通っていたのかも知りませんでした。
長女が生まれた時から、自宅には切れ目なくバイクはありましたし、タンデムで乗せて走ったことも多いです。ワタシが家内を、兄が妹(長女)を乗せて2台4人でツーリングしたこともありますが、二輪車にはそんなに興味はなさそうだと思っていたのです。免許を取りたいと思っていたとは感じていませんでした。
普通自動車免許はあったので、ほとんど実技教習だけだったのでしょうが、普通免許はAT限定ですのでクラッチやギア操作についてもよくわかってんだかどうか怪しいものです。しかもドン臭いであろう(失礼)と思われるのですが、なんでも規定時間で卒検までクリアしたとのことで。大丈夫かО自動車学校…と思ってしまいました。
そんな娘のバイク選びをしたのが3年ほど前。最初はワタシがお世話になっているモトラッド長野さんへ、GSのタンデムで出かけました。G310GSがあり、普通二輪でも運転可なのでどうかなと思ったのです。娘が乗らん時は、自分も遊べるし…。
感触は悪くはなかったのですが、やはり少々シートが高く、重量もありました。そして、どうやらカウルのあるSS的なものにしたい様子。まあ、初心者女性ライダーでBMはあまりいないよなあ…ということで、ワタシの計略は実を結びませんでした。
後日、R男爵のお店に探しに行きました。そこには各社の様々なバイクがあります。いろいろと相談していて、何機種も引っ張り出して股がらせていただいたり、説明もしてくれたり…。ワタシだったら「めんどくせー客だな」なんて思ってしまいそうですが、実に丁寧に娘とワタシに対応していただきました。R男爵さんのお店からは、一度だけVF750Fの中古車両を購入したことがあるだけですが、丁寧な対応には信頼を寄せることができると思いました。
見せていただいたうちの一台が、KawasakiのNinja400でした。ライムグリーンの車両が大多数だと思うのですが、オレンジとブラックの車体色で珍しいなと思って見ていました。
ワタシもKawasaki党の時期があって、ZZ-R1100(C1)に20年近く乗っていたのです。乗り換えで1400GTRにするつもりが、不図立ち寄ったモトラッド長野さんで、勧められるままに試乗をして約一時間。その日にGSの購入契約をしていた…というのが12年前のことでした。それ以来、Ninjaについて関心もなかったこともあるのですが、Ninjaというからには400といえども並列4気筒エンジンなのかなあと思っていたのですが、このNinja並列二気筒なんですね。しかも、まったく尖ったようなところがなく、すごく優しいフィーリングのエンジンで拍子抜けでした。車体も大変に軽く(娘は重いと言っていますが)、初心者女子には扱いやすく、ツーリングには最適と思いました。もっと優しいルックスのツアラーに搭載してもぴったりだと思います。
もちろんそれだけでなく、後日整備したあと調子を見る乗ってみたのですが、高回転まで回りますし、回し切れば、軽快なハンドリングと相まって、エキサイティングな走りも可能です。拡張性のある懐深い一台かもしれませんね。
大変に長くなりましたが、そんな娘が選んだのがNinja400の2013年モデルでした。某高校の教員として自立して3年経過しているだけあり、四輪に続いて現金一括でお買い上げでした。ETC車載器だけ、ワタシからの納車祝いとしました。
さて、そんな長女ですが、週末に実家に戻るときしかNinjaに乗る機会もなく、なかなか走行距離は伸びません。一人ではとても出かけられる技量もなく、今のところ「父としか出かけられない」状態です。
そんな事情から、時々長女と、レッスンを兼ねたのんびりツーリングに出かけています。交通量の少ない道、路面状況がよく安心して走れる峠道を選び、技量の伸びを見ながら出かける場所やルートを選んできました。昨年の夏にようやくビーナスラインデビューをさせて、ある程度の峠道は心配ない走りにはなってきました。しかし、まだまだ細かい取り回しなどには不安が残る現状です。やはり、間隔をあけ過ぎずに乗らないと、技量は定着しないですよね。
そんなわけで、父は始終ミラーを見ながらになりますが、娘との直近2回のツーリングの様子を報告します。
8月16日(火)
自宅からビーナスラインへのアプローチとなる新和田トンネルへ。ミラー見ながら先導しますが、前走していたツーリンググループに追いつきパスする程度の走りは大丈夫そう。入り口手前を左に入っていけば旧和田トンネル経由ビーナスラインに合流しますが、まずは交通量の極めて少ないブランシュたかやまスキー場への道を練習がてら走ってから白樺湖へと向かうルートを選択。
無料化された新和田トンネルを抜け、旧料金所を越えたところで左折。ここからの道は走っている車はほぼ皆無。路面はよく、屈曲具合もいい練習になります。スキー場下を通り越し、大門峠へとつながる道と合流。ぐんぐん標高を上げていく道。峠手前は結構タイトな急坂となりいい経験になります。ミラーで確認。なかなか安定してきた! 峠の信号機のある交差点を左折して、賑やかな一角を通り越して立科方面へ。こちらも交通量は少な目。女神湖までの道も快走ロード。女神湖でひと休み。
帰りは白樺湖までは同ルートを引き返し、白樺湖からビーナスラインを霧ヶ峰経由和田峠へと走ることにします。ビーナスラインの快走ロードも調子よく走っている長女でした。霧ヶ峰の道の駅(霧の駅)にはたくさんのバイクが停まっていますがスルー。
和田峠から右に折れて岡谷へ向かう道は狭路で対向車注意ですが、安定して走行していました。
さて、国道との合流点。「止まれ」の標識に従い、しっかり止まって左右の安全確認をするところです。下りの右カーブの傾斜が残っているところの「止まれ」なんですね。私もちょっと嫌な予感はあったのです。私が止まってミラーを見ると…「オーっとっと!」 しばらくなかっのですが、娘がお見事な立ちゴケ! ミラーが折れ、クラッチレバーの先っぽが、道路に転がっています。
お徳用5本セットのレバー買っておく必要があるかな(そんなものあるのか?)
いつもながら、怪我等はなく何よりです。Ninjaに絆創膏貼ろうね!
立山 天狗平山荘滞在と室堂周辺散策 天狗平山岳リゾート(笑)での寛ぎ旅 その④ 弥陀ヶ原方面へのトレラン
かなりの強い風が吹きつける展望台を後にして、来た道を室堂へと戻ります。しばらく歩いていると、ひとりの20代半ばくらいの男性登山者が近づいてきて、こう尋ねてきました。
「雄山神社への道はどっちですか?」
「は…??。」
おそらく室堂から一の越へと向かうつもりだったのでしょうが、なぜにこちらの道に誤ってしまったのでしょうか。室堂周辺はかなりわかりやすい案内表示がありますし、室堂からだとまっすぐ行けば一の越です。何故にわざわざ右折して(しかも明瞭)こちらの道へと入り込んだか…? 丁寧に場所を説明して差し上げました。
◇室堂周辺
https://www.alpen-route.com/area/murodo.php
家内に付き合って、少し前をゆっくりゆっくり歩いている時です。3メートルほど前に、よく見なければ周囲の景色に溶け込んでしまう渋い色合いの鳥が歩いています。
「おお、久しぶりだね!」 のんびりと私の前を歩く雷鳥さんでした。
少し間隔をあけて周りにも視線をめぐらすと、左手の岩とハイマツの斜面から3羽の雷鳥さんが姿を現しました。大きさが明らかに違うので、親子の雷鳥さん一家でしょう。なんだか何も警戒しないでのんびり歩いているように見えます。近くに寄って写真を撮っても逃げも隠れもしません。
私たちの後ろから女性二人の登山者がやってきました。手で合図して「雷鳥がいますよ」と伝えたところ、大変に喜んで写真を撮影していました。ひとの気配の濃い室堂からそんなに離れていないところで雷鳥さんに会えるとはラッキーでした。
室堂のホテル立山のレストランで昼食を取り、再び歩いて天狗平山荘へと向かいます。台風の影響もなく、穏やかな空の下の気持ちよい山歩きでした。家内の膝の具合もそれなりだったようで安心しました。
◇ホテル立山
https://h-tateyama.alpen-route.co.jp/
さて、山荘帰着後、ちょっと歩き足りない自分は、不要な荷物を置いて、トレランのいで立ちで弥陀ヶ原方面まで一巡りすることにしました。夕食まではまだ4時間ほどありますので、それなりに楽しむ時間はありそうです。時間に遅れると賢ちゃんに
「もう終了おおぉぉぉ!」
と言われるかもしれません。
【注】一般の皆さんにそんなことは言いませんよ。
台風による影響は顕著には感じられませんが、高層の雲の様子や風向き等から接近していることを読み取ることができます。高原バス停留所標識は転倒防止のために、あらかじめ寝かせておく等の措置が取られていました。そんな中、ひとり出かけていきました。
天狗平山荘から美女平までの道は、40年以上前ですが一度歩いて下ったことがあります。その時は美松坂から弥陀ヶ原へ出ましたが、今回は一の谷経由のコースを回って弥陀ヶ原往復としました。
◇天狗平から一の谷経由弥陀ヶ原
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=3428
湿原等の環境保全のために、ずっと木道が設けられています。緩やかに下る木道を適度なペースで走っていくことは本当に爽快です。周囲にまったく人の気配のない中、餓鬼の田んぼが点在する広大な草原をひとり走る爽快感! ただ、調子に乗って木道で転倒しないようにしないといけませんね。
草原の道を気持ちよく走れるところを過ぎると、段々に周囲が背の高い木々になってきます。緩やかだった傾斜の道が途切れ、急激に高度を下げていくところにぶつかります。「獅子が鼻」と呼ばれる一角です。ここからは岩場(鎖の設置あり)を下り「一の谷」を越えていきます。こちら方面にもあまり来る機会がなかったのですが、なかなかに興味深い地形であることを改めて思います。この一の谷ですが、天狗平山荘作成のPVでは沢登りをしているシーンがありました。賢ちゃんに聞くと、初心者向きの(経験者同伴で)沢登りが楽しめるとのことでした。天狗平山荘に1週間くらい滞在できる日が来たらやってみますかね。
沢を越して、今度は急激に高度を上げていきます。標高差は大したことありません。やがて弥陀ヶ原の一角に飛び出します。樹林を抜けて再び草原の中を進みます。
左手に弥陀ヶ原ホテルが見えてきました。ここまで誰一人出会いませんでしたが、弥陀ヶ原ホテルの散策路には観光客の姿がありました。高原バス道路に出ました。ここからは美松坂の登りですね。
◇弥陀ヶ原ホテル
https://midagahara.alpen-route.co.jp/
いよいよ風が、時々強く吹きつけるようになってきました。今夜あたりはちょっと荒れるかな。天狗平山荘で賢ちゃんとおバカな話をしているうちに台風も通り過ぎるでしょう。
急いで山荘に戻りましょう。
夕食には間に合いました!
立山 天狗平山荘滞在と室堂周辺散策 天狗平山岳リゾート(笑)での寛ぎ旅 その③ 室堂周辺散策~浄土山肩展望台
9月6日(火)
台風が九州地方に接近している気圧配置でしたが、こちらでは朝からよい天気でした。習性でしょうか、山にいるときは早起きになってしまいます。学生の頃に剣岳で合宿を行っている時には、2時前に起床し、当日の昼弁当と朝食を作り、4時にはヘッドランプを頼りに出発して、長次郎雪渓や三の窓雪渓などを登っていました。Ⅵ峰フェースならば5時過ぎ、チンネでも遅くとも7時には登攀開始していました。
◇Ⅵ峰フェース
https://essential-line.com/2018/09/24/3016
◇チンネ
https://essential-line.com/2022/08/01/8190
あまり早起きしすぎて、山荘スタッフを起こすのも申し訳ないので大人しくしていましたが、夜明け前の山の空気を胸いっぱいに味わいたくて、ひとり散歩に出かけました。昨日は霧の間にかすかにしか姿を望めなかった剣岳でしたが、朝焼けが始まろうとする空にくっきりとその雄姿を際立たせていました。やはり、剣岳はどこから見ても峻厳で孤高な印象を与えます。何十回と登頂した山ですが、憧れは尽きることはありません。まあ、前回【夏山合宿訪問 一日目 - GS1250ADV SUGURU’s DIARY (hatenablog.jp) 】と今日は眺めるだけですけど…。ちなみに、ここアルペンルートには数多くの山小屋がありますが、剣岳がこれほどはっきりと見ることができるのは、この天狗平山荘だけです。室堂まで上がってしまうと、立山と別山の陰になり望むことができません。室堂へのルートを途中まで歩いて、夜明けの朝焼けに染まる剣と立山の姿を堪能しました。
朝食は6時半。手作り感満点の温かく美味しい朝食です。昔から変わらずですが、パンが美味しいのです。おかわりをどんどんすすめてくれます。かつては大量摂取もできましたが、当方もそれなりの年齢になってしまいましたので適量を心がけています。
賢ちゃんがリムジン(ハイエース)で、宿泊客を室堂まで送ってくれるのですが、私たちは歩くことにします。
学生の時、東京から担いで来たテントや登攀具などの装備類だけでも50㎏近い重量があったのですが、実は荷物はそれだけではありませんでした。なんと、お米と石油は、ここ天狗平山荘で買い付けて、それも併せて荷揚げをしたのです。ですから、この道は、60㎏になるキスリングを担いで歩いた道なのです。
そんな思い出の深い道ですが、当然今日はおやつと雨具程度の荷物で、膝のリハビリ中の家内との散策です。いつの頃から言われるようになったのか、「チングルマロード」の名称がついています。よく知られた高山植物で、白いかわいらしい花を咲かせます。開花のころがきれいなのはもちろんですが、花が散った後の姿にも味わいがあります。綿毛のような果実をつけるのですが、この綿毛の様子が名前の由来になっているのです。綿毛は風が吹くとふわりと優しく揺れています。この日、眼前に広がっているのは、この綿毛を揺らすチングルマの姿でした。誰だ「チングルマの成れの果て」と言ったのは!
◇チングルマ https://botanica-media.jp/1759
私たち以外に誰一人歩いていない道でしたが、室堂に到着するとそれなりの人出がありました。ミクリガ池の方なども少し歩いた後、一の越方向へと進み、途中で右手へと浄土山方面へのルートを取ります。子どもたちを連れて立山縦走などもしましたが、こちら浄土山へ行くのは初めてのことです。
◇室堂周辺 https://www.alpen-route.com/area/murodo.php
浄土山へのルートですが、地図を見れば天狗平山荘の裏から、天狗山、国見岳へと連なり浄土山へとつなげられる尾根があるのです。かつて5月に結婚前の家内と、栄養士の方ともう一人の同僚を案内して、スキーを担いで(ワタクシが4本担ぎました)天狗山に登り、山頂から滑降したことがあります。しかし、夏道やハイキングルートはありません。高山植物保護のためにもそのほうがよさそうですね。
さて、浄土山肩の展望台からの眺めが抜群とのことで向かっているわけですが、すでに剣岳、大日岳、富山平野、能登半島の展望が広がっています。風は結構強いのですが、青空が遠くまで広がっています。緩やかな道をたどり、尾根の背に出れば眼下に立山カルデラ、遠くには槍・穂高まで望むことができるでしょう。膝の具合と相談しながら歩く家内に付き添ってのんびりと進んでいきます。浄土山への急登の道を左に分けて少し進むと、お目当ての展望台に出ました。眼前に北アルプスの山々が広がりました。近いところから、五色が原、薬師岳から続く黒部源流の山々、奥に笠ヶ岳、そして、槍ヶ岳、穂高岳…。絶景が眼前一杯に広がりました。いずれもかつて歩いた山々です。槍ヶ岳が遥か遠くに見えるのですが、TJARのトップ選手は、富山湾から剣岳を越えて、ここ立山を駆け抜けて、あそこまで24時間で走って到達するということに、改めて驚くばかりです。もはや想像すら追いつかない思いです。
家内の膝の具合もいいようです。まあ、無理せず、下山の方が気を付けたいところですね。
◇TJAR https://magazine.yamarii.com/article/9597/
◇立山カルデラ https://www.tatecal.or.jp/tatecal/index.html
立山 天狗平山荘滞在と室堂周辺散策 天狗平山岳リゾート(笑)での寛ぎ旅 その② 立山~美女平~天狗平
黒部立山アルペンルートの富山側の起点となる立山駅に到着。天狗平までのチケットを求めましたが、これから上に向かう人は僅かな人数のようでした。なんと、ケーブルカーに乗車したのは私たち夫婦だけでした。
このケーブルカー車内で流れる音声解説テープがあるのですが、その昔の音声解説テープでは妙に明るくポップなヨーデルが流れていて、重荷と重圧と悲壮感に苛まれているワタクシたちの心情とはかけ離れていることを感じておりました。その後、何度も家内や子どもたちを連れて家族で訪れていますので、悲壮感ある入山の記憶は遠い昔の微かなものになりつつあります。
ケーブルを降りると美女平。この時期、バスは1時間に1便ということでしばし待機します。美女平の駅舎2階の展望台から富山平野の展望を楽しむなどして待ち時間を過ごしました。これまではいつも通過するばかりで、こんなふうにゆっくりと時間を過ごすなんてことはありませんでしたからね。
そういえば、昭和の学生時代の時のことですが、この美女平から高原バスに乗り換える時には「手荷物計量」がありました。その折には私たちの担いで来たキスリング(片桐謹製・特注最大サイズ)が係員2人かがりで計量台に乗せられました。60㎏近い結果が出ることが常でした。うんざりと思う一方、どこか誇らしいような妙な心情だったことも遠い過去の記憶となりました。そんな荷物を背負って、剣岳登攀のベースキャンプまで運び上げたことも遠い過去の記憶です。
https://yukinoshingun.com/tozansoubi-showa1/
さて、時間が来て乗車となりましたが、乗客のほとんどは室堂まで行く皆さんです。途中の天狗平で降車するひとはあまりいないのです。そんなわけで、室堂行きとは別列の待機だったのですが、今回の乗車の際には、途中下車しやすいように先に乗り込むシステムでした。そのおかげで最前列左側シートを確保。このバス乗車の際は左側がお勧めです。途中の景観、ことに滝見台にて称名滝を車窓から眺めるところがありますが、その際には左側席がよいです。
美女平から天狗平までの区間は約20Kmの距離があって、標高差も1,000mほどあります。一度歩いて下ったことがあるのですが、機会を作って登りのトレランで行きたいと思っていました。今回チャンスかなと思っていたのですが、そこまでの準備ができませんでした。
さて、約50分の乗車で天狗平山荘です。賢ちゃんは元気にして…ちゃんと仕事しているでしょうか。山荘の姿が見えてきました! 玄関前でうろうろしている怪しい人影があります。賢ちゃんでしょう。 2日間よろしくね!
◇天狗平山荘 https://sites.google.com/view/tengutateyama/
https://www.facebook.com/tengutateyama/
立山 天狗平山荘滞在と室堂周辺散策 天狗平山岳リゾート(笑)での寛ぎ旅 その① 出発~安房峠~有峰湖~立山
昭和53年(1978年)大学入学と同時に山岳部へと入部したワタクシ。三つ峠での新人歓迎&ロッククライミング訓練、谷川岳での雪上技術訓練に続いて、初めての夏山合宿の前半部は剣岳を巡る緒ルートとその周辺の山々で行われました。「天狗平山荘」との縁はその時以来44年を越えました。
最初に訪れたのは前述のとおりワタクシ18歳の夏でした。50㎏を優に超えるキスリングを背負って、東京の上野駅を深夜に夜行列車「急行・能登」で出発。電気機関車の牽く客車はエアコンもなく、むせ返る暑さの中で仮眠をとり早朝に富山着。富山地鉄に乗り換えて立山駅ここからケーブルカーで美女平に。ワタクシより15年くらい前の先輩の頃にはケーブルはなく、ここも歩いて(嘔吐しながら!)登ったということに肌寒いことも感じました。美女平から高原バスに乗り換えて到着したところが「天狗平山荘」でした。
先輩に引き連れられて山荘の玄関前に行き、そこで一列に整列。日に焼けた一見では強面のご主人が私たち新人の前に現れました。2代目天狗平山荘のご主人・佐伯守さんでした。
私たちがあいさつを申し上げると、ちょっとしわがれた声で、私たちに激励の言葉をかけてくれました。剣や立山での様々な活躍、登山道整備や遭難救助に数多くの貢献をされていた方です。絵に描いたような昭和の「山男」という感じで、ワタクシは初見で魅入られてしまいました。剣岳で2週間あまり登攀活動をした後に山荘に戻るのですが、そうした時には「おい!立教、これ食え!」と一見ぶっきら棒ですが実に温かな気持ちのこもる言葉をかけてくださいました。
剣での合宿は恒例のものでしたので、二年目三年目四年目と経過していく中で、私にとっては剣での夏山合宿では「守さんの絵顔に会える」ことが大きな楽しみになっていきました。卒業後も度々お訪ねしています。OBとして学生合宿に参加するとき、結婚前の家内を連れての春スキー、子どもができてからの立山登山などなど…。二人の子どもたちも守さんにかわいがっていただきました。
今の主人は三代目の佐伯賢輔さん。私と同じ年の生まれです。この三代目とも44年の付き合いになります。かつては富山岳連の一員としてナンガパルバットに遠征した経歴もあます。今は三代目当主として、山小屋のテイストを残した山岳リゾート(^0^)ホテルとして発展させていこうと奮闘(…主に奥様だな)しています。
さて、天狗平山荘のことを述べていると尽きることがありませんのでこのへんにします。
今回は家内と二泊お世話になり、激しい登山ではなく、剣と立山の景観を楽しみながら、ゆっくりと寛いで過ごす計画です。
9月5日(月)
通勤時間帯が過ぎた頃、今回は家内の車で出発。一般道で塩尻峠を越え、サラダ街道経由で波田に出て新島々へ。高山に行くときに毎度通る安房トンネルですが、今回は時間もたっぷりあるし、急ぐ旅ではないので、「安房峠を越えてみよう」ということになりました。かつてトンネルがない時には何度も通った道ですが、トンネル完成後に通った記憶はありません。先日GS-Aのタイヤ交換中に、代車のF900XRで途中まで登ったことがあるだけです。
上高地へ向かう釜トンネル前を左折してトンネル方面に向かい、すぐに出会う安房峠への入り口を右へ入ります。いきなり始まる九十九折り。かつては大型観光バスがここを通っていたとは、いまでは「よくもまあ…」の思いがします。行き違いができなくて、それがもとでよく渋滞していた記憶が蘇ってきます。松本電鉄のバスは上手にクリアしていましたけれど、都会の観光バスはダメダメでしたね。
あえて利用する人も極めて少ないのでしょうが、路面も荒れていることなく状況は良かったです。かつて茶屋があったところが小広い駐車場となっていて、穂高岳の美しい姿を望むことができました。
◇安房峠
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E6%88%BF%E5%B3%A0
岐阜県側は長野県側に比べると開けた感じです。気持ちよく高度を下げていくと平湯温泉の一角に降り立ちます。進路を右にとって進み、神岡方面への道と合流します。奥飛騨温泉郷を通過し、高原川に架かる橋を渡って左折。右に行くと新穂高方面です。槍ヶ岳や穂高岳、双六岳、笠ヶ岳の登山口です。
神岡方面へしばらく進むと、今は高山市になっていますが、かつての上宝村の中心地(?)から右手に、双六谷に沿うように山奥へ向かう道があります。この道は上部で神岡から登ってくる道と合流後、「飛越トンネル」を抜けて富山県の有峰ダムへと至る道となります。かつて黒部源流の赤木沢を登った時に利用したことがあります。立山町に出るにあたり、地図上ではショートカットに見えますが、なかなかに大変な山岳ロードですので、時間的には短縮にはなりません。しかし、余裕があるときには走っていただきたいお勧めのルートです。有峰林道が少々お高め(普通車2,000円 バイクはお値打ち500円)ですが。
◇飛越トンネル https://thejapanalps.com/access-hietsu/
◇有峰林道 https://www.travel.co.jp/guide/article/21468/
飛越トンネルの岐阜県側が北ノ俣岳登山口になっています。黒部源流の山のひとつですが、ここからですと日帰りが可能です。ひと昔前はかなりの日数を要した黒部源流の稜線でしたが、道路網発達のおかげでずいぶん身近になりましたね。
トンネルを越して少し進むと料金所があります。
有峰ダムの建設によって生まれた有峰湖。湖に沿うように道路は続きますが、深い木々にさえぎられて、右手にある湖面はなかなか望めません。行き交う車もほとんどない中を進み展望台に出ます。ここからの眺めは見事なものです。
◇有峰湖 https://www.toyamashi-kankoukyoukai.jp/?tid=101008
ここからは有峰口、亀谷に向かってぐんぐん標高を下げていきます。この道もかつてはかなり怪しげな道でしたが、繰り返し改修されてトンネルも増えて安心な道となりました。通行料金がそれなりなのも納得ですね。
亀谷温泉から常願寺川に沿って立山へと続く道に入ります。佐伯さんの自宅のある芦峅を通ります。右手に「まんだら遊苑」の表示がありますが、ここに守さんのお墓があります。立山を正面に臨むように建立された立派な墓所です。
そして、立山駅へと到着。ここが黒部立山アルペンルートの富山側の起点となります。駐車場には平日でありましたが結構な数の車がありました。しかし、これから上に向かう人は極めて少なく、駅は閑散としていましたし、ケーブル乗車したのは私たち夫婦だけでした。
美しい水辺の宿場町と清流に咲く花 中山道「醒ケ井宿」を訪ねて その②
梅花藻の見ごろは7月下旬から8月下旬と言われています。また、大雨の後は花が散ったり増水したりするため観賞には適さないとのことでしたが、この日は涼やかな清流の中に咲く可憐な花を堪能することができました。ありがとうございました。
さて、醒井には何か所も湧き水があるのですが、そのひとつ「西行水」を訪ねました。古来より西行法師にまつわる伝説が残されている湧き水です。
西行法師は、わたくし昔から大変に憧れている御仁で、その足跡や所縁の土地を訪ねるツーリングもしているところです。このブログにも以前に幾つか投稿しています。これは訪ねるしかありません。梅花藻を鑑賞できる場所からは少し離れていますが、生活感のある街道中に位置しています。
さて、ここに伝わる伝説とは次のようなものです。
西行法師が東国へ旅をしている途中、醒井にあった茶屋で足を休め、お茶を飲みました。茶屋の娘が西行法師に思いを寄せ、西行法師が茶屋を去った後、飲み残したお茶の泡を飲んだ所、何故か妊娠し男児を出産しました。
ということです。ううむ…。佐藤義清さん(西行法師の俗名)どうしちゃった?
娘さんの言い訳?に利用されてしまったのでしょうか?
それとも、ご当人がオイタしちゃったのか…?
西行さん…認知したのかしらん? などと伝説を前に無粋なことを思う還暦ライダーでした。
この伝説には続きがあるのですが、「なんともなあ…」な結末です。西行法師の名が出てくる伝説はたくさんありますが、これはあまり美しくないなあ…と感じてしまいます。
西行法師が帰りに再び同じ茶店に立ち寄り、この話を聞くと「本当に我が子であるのならば、元の泡へ戻れ」と唱えました。すると子どもはたちまち泡となって消えてしまいました。
子どもを消してしまうという結末は、どうも好きになれません。何故に西行法師が登場したか。有名人は大変ですね。
再びメインな街道へ戻り、老舗醤油醸造元・喜代治商店によりました。醒ヶ井の湧水で仕込んだ風味豊かなおいしい味を創業以来守り続けています。伝統の「ヤマキ醤油「味噌」を商っています。ここで家人へのお土産を調達しました。ご主人とお話ししたところ、娘さんは松本に暮らしているとのことでした。
次いで「丁子屋製菓」という創業100年を超える老舗和菓子店にも立ち寄りました。醒井の名水を使った和菓子、とくにこの時期は「水まんじゅう」が人気商品だそうです。お土産のお菓子を何点かと、ご当地ソフトクリーム「梅花藻ソフトクリーム」をいただきました。「梅花藻パウダー」を練り込んだ薄い緑色をしたソフトクリームで、ここでしか味わうことができません。地蔵川畔に置かれたベンチで還暦おやじが一人でソフトを舐めているのは奇妙な図ですが、暑さの中たいへん美味しくいただきました。
その後、再び米原ICから彦根ICへと出ました。名勝・彦根城は何度か来て「ひこにゃん」とも会っていますし、この暑さで城めぐりはパスしたいです。ビワイチ(琵琶湖一周)でもしようかとの思いはありましたが、この近畿地方の暑さというのは、信州人には厳しく堪えます。琵琶湖沿いに走るのは、それでも涼しいですし、爽快レイクサイドRoadではありますが、今日のところはこのあたりで撤収かな…と思いました。
米原ICから高速道に入り、一路涼しい信州へと、帰路につきました。GSに乗っていると距離感が希薄になります。「立ち寄るぞ」と決意しなければSA・PAは軒並みスルーです。小牧JCTを過ぎて中央自動車道に入れば「もう地元、帰ってきたな」感に包まれてしまいます。
岡谷の自宅到着 15時前でした…。