GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

立山 天狗平山荘滞在と室堂周辺散策       天狗平山岳リゾート(笑)での寛ぎ旅       その③ 室堂周辺散策~浄土山肩展望台

9月6日(火)
 台風が九州地方に接近している気圧配置でしたが、こちらでは朝からよい天気でした。習性でしょうか、山にいるときは早起きになってしまいます。学生の頃に剣岳で合宿を行っている時には、2時前に起床し、当日の昼弁当と朝食を作り、4時にはヘッドランプを頼りに出発して、長次郎雪渓や三の窓雪渓などを登っていました。Ⅵ峰フェースならば5時過ぎ、チンネでも遅くとも7時には登攀開始していました。
◇Ⅵ峰フェース
https://essential-line.com/2018/09/24/3016
◇チンネ
https://essential-line.com/2022/08/01/8190

 あまり早起きしすぎて、山荘スタッフを起こすのも申し訳ないので大人しくしていましたが、夜明け前の山の空気を胸いっぱいに味わいたくて、ひとり散歩に出かけました。昨日は霧の間にかすかにしか姿を望めなかった剣岳でしたが、朝焼けが始まろうとする空にくっきりとその雄姿を際立たせていました。やはり、剣岳はどこから見ても峻厳で孤高な印象を与えます。何十回と登頂した山ですが、憧れは尽きることはありません。まあ、前回【夏山合宿訪問 一日目 - GS1250ADV SUGURU’s DIARY (hatenablog.jp)  】と今日は眺めるだけですけど…。ちなみに、ここアルペンルートには数多くの山小屋がありますが、剣岳がこれほどはっきりと見ることができるのは、この天狗平山荘だけです。室堂まで上がってしまうと、立山別山の陰になり望むことができません。室堂へのルートを途中まで歩いて、夜明けの朝焼けに染まる剣と立山の姿を堪能しました。

立山の向こう側から朝日が昇ります。
朝焼けに染まる山々の姿を
深く味わうことができました。

 朝食は6時半。手作り感満点の温かく美味しい朝食です。昔から変わらずですが、パンが美味しいのです。おかわりをどんどんすすめてくれます。かつては大量摂取もできましたが、当方もそれなりの年齢になってしまいましたので適量を心がけています。
 賢ちゃんがリムジン(ハイエース)で、宿泊客を室堂まで送ってくれるのですが、私たちは歩くことにします。
 学生の時、東京から担いで来たテントや登攀具などの装備類だけでも50㎏近い重量があったのですが、実は荷物はそれだけではありませんでした。なんと、お米と石油は、ここ天狗平山荘で買い付けて、それも併せて荷揚げをしたのです。ですから、この道は、60㎏になるキスリングを担いで歩いた道なのです。
 そんな思い出の深い道ですが、当然今日はおやつと雨具程度の荷物で、膝のリハビリ中の家内との散策です。いつの頃から言われるようになったのか、「チングルマロード」の名称がついています。よく知られた高山植物で、白いかわいらしい花を咲かせます。開花のころがきれいなのはもちろんですが、花が散った後の姿にも味わいがあります。綿毛のような果実をつけるのですが、この綿毛の様子が名前の由来になっているのです。綿毛は風が吹くとふわりと優しく揺れています。この日、眼前に広がっているのは、この綿毛を揺らすチングルマの姿でした。誰だ「チングルマの成れの果て」と言ったのは!
チングルマ https://botanica-media.jp/1759

手前が綿毛になったチングルマの群落。
奥に臨む孤高の峰が剣岳

 私たち以外に誰一人歩いていない道でしたが、室堂に到着するとそれなりの人出がありました。ミクリガ池の方なども少し歩いた後、一の越方向へと進み、途中で右手へと浄土山方面へのルートを取ります。子どもたちを連れて立山縦走などもしましたが、こちら浄土山へ行くのは初めてのことです。
◇室堂周辺 https://www.alpen-route.com/area/murodo.php

 浄土山へのルートですが、地図を見れば天狗平山荘の裏から、天狗山、国見岳へと連なり浄土山へとつなげられる尾根があるのです。かつて5月に結婚前の家内と、栄養士の方ともう一人の同僚を案内して、スキーを担いで(ワタクシが4本担ぎました)天狗山に登り、山頂から滑降したことがあります。しかし、夏道やハイキングルートはありません。高山植物保護のためにもそのほうがよさそうですね。

青空の下、緩やかな道を浄土山方面へ。背景の山は別山

 さて、浄土山肩の展望台からの眺めが抜群とのことで向かっているわけですが、すでに剣岳、大日岳、富山平野能登半島の展望が広がっています。風は結構強いのですが、青空が遠くまで広がっています。緩やかな道をたどり、尾根の背に出れば眼下に立山カルデラ、遠くには槍・穂高まで望むことができるでしょう。膝の具合と相談しながら歩く家内に付き添ってのんびりと進んでいきます。浄土山への急登の道を左に分けて少し進むと、お目当ての展望台に出ました。眼前に北アルプスの山々が広がりました。近いところから、五色が原、薬師岳から続く黒部源流の山々、奥に笠ヶ岳、そして、槍ヶ岳穂高岳…。絶景が眼前一杯に広がりました。いずれもかつて歩いた山々です。槍ヶ岳が遥か遠くに見えるのですが、TJARのトップ選手は、富山湾から剣岳を越えて、ここ立山を駆け抜けて、あそこまで24時間で走って到達するということに、改めて驚くばかりです。もはや想像すら追いつかない思いです。
 家内の膝の具合もいいようです。まあ、無理せず、下山の方が気を付けたいところですね。

展望台からの眺め。
近いところから、五色が原、その右下は立山カルデラ
薬師岳と黒部源流の山々、遠景に笠ヶ岳
そしてぐるっと続く稜線を経て左手奥に槍ヶ岳

◇TJAR  https://magazine.yamarii.com/article/9597/
立山カルデラ https://www.tatecal.or.jp/tatecal/index.html