GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

Challenged その①

 福祉・教育関係の場で使われるようになって久しいのですが、ノマライゼーション、ユニバーサルデザインインクルージョン…というような言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これらの言葉は英語のままに定着して、教育や福祉の現場で使われています。
 なぜでしょうか。横文字(死語?)のほうが洒落ているとか斬新に聞こえる…などという訳ではありません。大変に残念なことですが、これらの言葉は、日本語には翻訳が不可能なのです。
 言葉は文化であり哲学であり、その国の国民性や所属するコミュニティのあり方を表すものでもあると思います。我が国にはこれまでのところ、これらの言葉の示すところの文化・哲学・社会システムが存在していないということなんですね。
 「障がいを持つ人」を指す言葉として Challenged(チャレンジド)という米語がつかわれるようになってしばらくたちます。おそらく、これも日本語では翻訳不可能でしょう。「挑戦するという天命・使命(‥おそらくは「神から授けられた」という含意もあり)を持ち、それに立ち向かう資格と機会を与えられた人」という意味を包含している言葉であるようです。これに対応できる適切な訳語たる日本語は見当たりませんよね。
 この言葉が生まれてくる背景の違いでしょう。障がいをマイナスとだけ捉えるのでなく、「障がいを持つからこそ体験できる様々な事象を、自分自身と社会の成長のために生かして行くことができる」というような、ポジティブな想いが込められているということでしょう。こうした文化や哲学を、私たちは持ち合わせてこなかった、ということでしょう。
 この言葉が生まれた背景ですが、従来使われていた HandicappedやDisabledpersonという言葉のネガティブな含意への疑問が広がり、市民の中で様々な呼称が提唱されるという経緯を経て、 Challenged の言葉が使用されるようになったそうです。
 ちなみにかの国での「障がい者」の呼称は次のものがあります。その変遷についても記してみます。主に使われる表現には次のものがあります。
1. person with disabilities
2. disabled person
3. handicapped person
4. challenged person
1 person with disabilities
 現在はこの表現が最適だと言われています。person(人)が先に表記されていること、「障害」より「人」に焦点を合わせた丁寧な表現だと思います。
2 disabled person
 この表記はこれまでよく使われてきました。この言葉は、disabled(障害)という言葉が最初に出てきます。上記 person with disabilities に置き換わっているようです。
3 handicapped person
 これも以前によく使われた表現だそうです。現在は、多くの人にとって不快な言葉であると認識されているようです。
4 challenged person
 近年使われるようになった言葉です。「障害に挑戦する人々」というポジティブな意味が込められているといいます。
 言葉の移り変わりとしては
Handicapped person → Disabled person → Person with disabilities 
→ challenged person   という流れがあるようです。
 なお、スラング的な表現としてcrippled というのがあるようですが、これは厳禁!。極めて差別的な表現だそうです。日本語にかつてあった、か〇〇、め〇〇、とかの類のものでしょう。                               (続く)

3人、立っている人、空の画像のようです