GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

海の景色とGS-A

海の景色とGS-ADV
 最近、西日本にお住いの某GS-ADV乗りの方の配信動画を、Utubeで拝見しています。当地では冬季の道路事情のためにツーリングには出かけにくいだけに、瀬戸内海に面した歴史ある町や、穏やかな瀬戸内の小島への旅の映像を、羨ましく思いながら楽しんでいます。
 先日の最新動画では、瀬戸内海の小島へとフェリーでお出かけの様子を拝見しました。ADVでの島旅が日帰りで楽しめるなんて素敵です。当地からだと最寄りの島旅というと佐渡です。素晴らしいところで何回か出かけていますが、日帰りはちょっと忙しいなあ。
 さて、動画に登場する島ですが、運行されているフェリーの便数にびっくり。なんと一日48便もあるということです。本県のそれなりの規模の市間を結ぶバスの便数よりはるかに多いです。瀬戸内の島々恐るべし! 
 味のあるスポットや激シブのラーメン店も登場させてくれていますし、島の展望台からの絶景も見どころです。さらに島の道はだいたい狭小なのが常ですが、動画でも大変に細い道をGS-ADVで進み行くシーンがよく出てきます。「よくあんな道行くよなあ…」と他人さまのことを言えるような自分ではありませんが、画面を見ながらドキドキすることがあります。なかなか見せ場の多い巧みな構成の動画なのです。
 Hさん、配信楽しみにしています!
 さてさて…。ツーリング先に海沿いの道があると心からワクワクしてきます。内陸「海なし県」で、四囲が山岳である長野県に暮らす私たちに、海の景観はたいへん心に響くのです。
 海岸沿いの道や高台から大海原を見渡すような道を走るとき、心の中に浮かんでくる曲が幾つもあります。小学校唱歌「海は広いなおおきいなー」のこともあれば(は…どんな時よ?)、加山雄三「海 その愛」であったり、はたまた「チャコの海岸物語」であったり…。 
 季節やその時の心模様などによって違うのですが、そんな幾つもある曲の中で、最も高揚感があるとき、感動の高まりがMAXな時に想起される一曲といえば、チュルリョーニス(リトアニアの国民的作曲家)の交響詩「海」です。交響曲の「海」といえば、ドビュッシーの作品が圧倒的に有名ですが、チョルリョーニスの「海」もとても美しく壮大な曲で、大海原の広がりが浮かんでくる素晴らしい作品なのです。昨年の秋、早朝の能登島の海岸沿いの道をADVで走るときも、この曲が頭の中を巡っていました。
 冒頭、夜明け前の海を表現するかのようなメロディから始まります。ゆったりとした曲想は、ゆるやかな波が打ち寄せる穏和な海を想起させます。次いで、壮大な印象の演奏へ。水平線に昇る太陽によって、大海原に光が満ちていくイメージ。…ADVのスロットルがワイドオープンになってしまうところです。
 再び穏やかな曲想となり、清涼な雰囲気へと続きます。力強くも軽やかに回るフラットツインのエンジンとシンクロするかのようです。その後も、海の静けさや、ゆったりとした波のうねりを感じさせる響き、美しく爽やかなメロディーが続きます。そして、中盤。荒波がしぶきを上げるかのような金管楽器の激しい響き、ロマンティックな美しい曲の流れが続きます。激しさと美しさをあわせ持つ海の景色が表現されているのでしょうか。激しさと美しさ…まさにGSの醸し出す世界と見事にシンクロします。ラストは高揚感が最高潮となり、壮大かつ輝かしい演奏で幕を閉じます。
 バイクに乗っている時、イヤホンで音楽を聴きながらの運転というのは、あまり好みではないのでやらないのですが(同様にインカムも好きじゃない…基本ソロツーですし)、GSはともかく、RTやK1600のように高音質のスピーカーが装備されているなら、音楽を流しながらは「あり」で、素敵だろうなと思います。
 さて、この作曲家はリトアニアの誇りなのですね。いま、ウクライナが大変な状況ですが、かつてリトアニア旧ソ連の軛から逃れて独立を回復しようとした時(1991年・血の日曜日)死を覚悟して議事堂に集まった人々は、この作曲家の合唱曲を高らかに歌い、この「海」の曲をピアノ演奏したと言われています。
 リトアニアが多大な犠牲を払いながらも独立を回復し維持することができたように、今多くの血が流されているウクライナにおいて、人々の自由と独立が守られますようにと祈るばかりです。
 私が持っているCDはこの1枚。 In the Forest(森の中で)の曲も入っています
 指揮:ギンタラス・リンキャヴィチュス
    リストニア国立交響楽団
 録音:1991年4月 ビリニュス 聖ヨハネ教会