GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

Lawrence of Arabia その➃

Lawrence of Arabia その➃
   ~ riding the whirlwind ~
 
 彼は最終的に大佐として退役します。その後、映画では描かれてはいませんが、自分の経歴を隠し偽名を使って、一兵卒として空軍に入隊志願するのです。アラブの英雄として名の売れた人ですからバレないわけないでしょうに、それでも現役でいたかったのでしょうか。案の定、正体が露見しないわけはなく、すぐに丁重にお引き取りいただいたようですが…。
 その後も現役としての志願を重ねたところ、おそらくは呆れられて、一時は戦車部隊に配属され、しばらくの間現役を継続したそうです。生涯現役で最前線に存在したかったのか、相当懲りない人だったのか…。そんなところにも魅力を感じる人物です。このあたりのことが描かれていないのは、超名作に異議を唱えるわけではありませんが、ちょっぴり残念にも思います。
 これまで何度も見ていたのですが、改めて気づいて思いを巡らせた場面がありました。
 最終章、外交上の計略のために、祖国の英国側からもアラブ側のファイサル国王からも、両者にとって厄介な存在として見なされることとなります。ロレンスは大佐へと昇格させられ、体よく砂漠からお引き取りいただくことになるのですが、その砂漠を去り行く場面です。
 渦巻く計略に翻弄され憔悴し様々な思いが渦巻いているロレンス。そんな彼を乗せた、部下である下士官が運転する軍用の無蓋ロールスロイスが、砂漠の中の道を進むシーンがあります。途中、駱駝の隊列を抜いていくとき、ロレンスは立ち上がり身を乗り出して、何かを探すような目でその一団を見つめ振り返ります。ロールスは駱駝の一団を後方に置き去りにして走り続けます。再び座席に座りぼんやりと前を見つめるロレンス。その時、後ろからエンジン音が響いてきます。今度は一台の軍用オートバイが砂塵を巻き上げて二人の乗る車を追い越していきます。ロレンスはそれを何事かを思う苦渋に満ちた表情で、砂塵の中を去り行くオートバイを見つめます。その場面で「THE END」となるのです。
 ここにどんな暗喩が施それたのか興味深いところです。いずれにしても、冒頭と終末にオートバイが登場するというところも、私にとっては刺さるところのひとつです。
 4時間近い長尺の映画ですが、是非味わっていただきたい名作だと思います。レストア版の映像は本当に綺麗ですよ。音楽も秀逸ですし、砂漠の映像が本当に素晴らしい。
 GS-ADVで砂漠を走りたくなること… 
 そして ridding the whirlwind であり続けたくなること               請け合いです。