I am the master of my fate
I am the master of my fate.
I am the captain of my soul.
いまこの瞬間、極めて困難な状況の中で戦っている人々がいます。
平和な生活を享受している私たちには思いも及ばぬ不安と困難の中で…。
報道を見聞きしながら、こんなこと、こんな詩を思い起こしてしまいました。
現役時、様々な児童・生徒、その家庭と保護者に出会ってきました。その中には、たいへんに困難な境遇にある児童・生徒もありました。困難な境遇を乗り越え、力強く生き抜いていってほしい…と祈りながら送り出すしかないことがたくさんありました。
障がい者就業支援の職にある今も、困難な境遇にあり将来に不安を思う方々と接していく時、果たしてどのような支援ができるのか、何ができるか…無力さを思うばかりです。
自分自身は、置かれた境遇や支えてくれる周囲の皆さまには感謝の思いを持つばかりですが、歩んできた日々を思えば順風満帆なんてことはなく、かなり尋常でない?(心身を病む方も多く、最近世間では「超ブラック」と認識されている感もある…)職を続けてきました。理不尽な事象についての耐性は大学山岳部で培われましたので、おかげさまで心を病むこととは無縁の38年間を過ごすことができましたが、苦境にある同僚も大勢おりました。
そんな中にあって思ってきたことは、様々な困難にあっても、その不運や不幸を恨むことなく、その困難に飲み込まれず、自分を見失わない姿勢・態度…を維持することの大切さです。そして、児童・生徒には、そうした心を育て培っていきたいという願いが、自分の学級・学校づくりの根本にあったと思っています。
冒頭の詩の一節は、そんな姿勢を端的に示しています。大好きな一節です。
英国の詩人 William Ernest Henleyの有名な詩「Invictus」のラスト2行です。
Williamは様々な困難な境遇にありました。書店・文具店を経営する家庭に生まれます。
オックスフォード地方学校に合格しますが、幼少から悩まされていた病気により、20歳の時に左足を切断。右足も切断の危機を迎えますが治療により免れ、2年間を診療所で過ごします。その入院・闘病中に「Invictus」の詩を書き上げました。
その病気のほかにも、父が借金を残して亡くなる、愛娘が病気で亡くなるなどの不運に見舞われます。自身も列車からの転落事故から病気が再発し、53歳という若さで亡くなってしまいます。
運命や不運は自分では統制できないものと思ってしまいますが、それすら自ら支配していくのだ…。という極めて主体的で力強い言葉です。
この詩人は、作家のスティーブンソンとも親交がありました。そう、少年時に読まれた方も多いと思いますが、彼の作品「宝島」に登場するシルバー船長。この片足の海賊は、Williamをモデルにしたといわれています。なんとも素敵な関係ですよね。
マンデラさんは刑務所にいる時、他の囚人たちにこの詩を朗読して伝えて聞かせていた詩でもあり、獄中生活を支えていた詩としても知られています。