GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

秘境テイストお好みの皆様へ 国道(酷道?)252と352をつなげた旅 その②   昨年11月、今年5月に通行不能だった道への再訪

 旅の朝は遠足当日の小学生でもあるまいに早々に目が覚めてしまうのですが、朝食は6:30。ありがたくいただいてからの出発としました。
 まずは長岡市から栃尾市へと向かう道を進みます。栃尾は大きな油揚げで有名です。それ以外にも、軍神・上杉謙信が病弱の兄から家督を譲り受ける前の若かりし頃、ここ栃尾城を預かり周囲の勢力を固めていったことでも知られています。そんな土地でもあり、私も何度か訪ねています。本日は通過させていただきます。
 山間の道を進むと、左手に守門山が美しい姿を見せてくれます。はるか46年前、弱冠17歳のワタクシは、東京上野を夜行列車で出発し、長岡から栃尾、栃堀とバスを乗り継いで、一人この山へ出かけたことがあります。越後の名山のひとつです。積雪期に山岳スキーで登山がしたいなあと思いつつ、数十年が過ぎてしまいました。

栃尾と守門山
http://tochiokankou.jp/tourism/sumon.html

入広瀬、大白川と経由する道も交通量は少ないものです。しかし、今日は土曜日。地元のライダーでしょう、元気よく走ってくるSSにも行き違いました。
さて、いよいよ「六十里越」と呼ばれてきた峠越えの道に入ります。

◇六十里越 概要
 魚沼市大白川と只見町大字田子倉の間に所在する峠。最高点の標高は863 m。
 六十里越の名の由来は、実際の距離は六里(約24 km)でありながら、険しさゆえに一里が十里にも感じられるほど余りに急峻かつ長大な山道であること、あるいは中世まで東日本において、一里は500 mであったことなど諸説ある。
 古くから新潟県中越地方と福島県会津地方南部を結ぶ街道の一つであるものの、国内有数の豪雪地帯に位置し、かつ雪崩や落石の危険性が高い箇所を経由することから通年では通行できない難所であった。昭和時代に入ってから道路改築と鉄道建設が進められ、まず1971年(昭和46年)に日本国有鉄道国鉄只見線(現在は東日本旅客鉄道JR東日本〉が継承)の、さらに1973年(昭和48年)9月には国道252号の、それぞれ県境区間が開業および開通した。いずれも区間内にはトンネルやスノーシェッドが連続して設けられている。

 ちなみに中越地方と只見町を結ぶ街道として、三条市と只見町の間に「八十里越」と呼ばれる峠がありますが、こちらは更に急峻な地形の難所で、現在も国道289号は自動車通行不能区間となっています。

 かつて一部区間はダートでしたが、現在は全区間が舗装されています。この県境区間ですが、「六十里越 雪わり街道」という愛称が付けられたようです。

この時間帯は周囲の山々の多くは霧に包まれていました。
魅力ある谷筋や岩壁を擁する山もあります。

六十里トンネルを越えて田子倉湖が見下ろせる辺りの路上。
走りに夢中になると…写真撮るの面倒になっちゃうんです…。

 よくよく見ないと線路が草木に隠れてしまう只見線。その線路と並走しながら緩やかな勾配を進み、県境となる六十里越トンネルを通過しました。
福島県側は急峻な地形となっていて、遥か下の田子倉湖を見下ろしながら急勾配の下りとなります。GS-Aは抜群の安定感で急勾配のヘアピンも、荒れた路面も快走させてくれます。
 こちらの山々のこと詳しくは調べていないのですが、相当に急峻な岩壁を擁する魅力ある姿の山がありました。浅草岳とか御神楽岳などの登山口もこの辺りですね。

 8:00 田子倉ダムに到着。ダムを見下ろす駐車場に「ぶらん湖」なるものが設置されています。まだレストハウスも開店前で周囲に人も疎ら…。還暦過ぎのオヤジが一人でブランコに乗る図も妙なものですがご勘弁ください。

田子倉ダムは霧に包まれていました。

田子倉ダム展望台駐車場 「ぶらん湖」なるものが置かれています。

周囲にだれもいないし…。ぶらん湖のっちゃおうかなあ…。

還暦すぎたおやじが一人でブランコに乗っているという
奇妙な図です…。

田子倉ダム
http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=0494


 田子倉ダムからしばらく下れば、一段下に位置する只見ダムに至りました(8:20)。
 この5月に訪れたところです。あの時は、いま通ってきた山も道も深い雪の中でした。同じ場所での写真を一枚。

只見ダムの堰堤左岸にて。
こちらは今回10月15日のもの。

同じ場所。こちらは5月18日。
この時点でも、今回走った道は通行不能でした。

◇只見ダム
http://damnet.or.jp/cgi-bin/binranA/All.cgi?db4=0541


 町中へと向かい、只見駅を左手に見送って、南会津への道をたどります。5月の時と逆ルートになります。
 その時には、檜枝岐から走って来る中、道中に開店している店がひとつもなく、ようやく朝食を調達できたデイリーストア「よろずや」さん。素敵なおば様が会津言葉でいろいろとお話をしてくれたお店です。再度、少々寄り道させていただきました。今日もお元気でなによりです!

素敵なおば様が会津の言葉でいろいろと教えてくれます。
この写真は5月のものです。

 山間ですが、平坦な道を檜枝岐へと快走。先ほどまで雲が多かった空でしたが、ここらあたりから晴れ間が広がりました。
 9:30 道の駅「尾瀬・檜枝岐」に到着。すっかりよい天気になりました。

◇道の駅「尾瀬・檜枝岐」
http://www.oze-info.jp/mitinoeki/

 その後、しばらくは比較的なだらかな林間の道を進みます。七入キャンプ場を見送って川を越すと、いよいよ急勾配の屈折路になります。この屈曲路を抜けると勾配が緩やかになり、道幅も広がって見晴らしもよくなります。この辺りで紅葉した木々を撮影している方がたくさんおられました。紅葉の名所で「ブナ平」の名前がつけられているようです。自分も一枚!(10:00)

この近辺、路上に駐車して撮影している方がおられました。

 さらに少し進むと、尾瀬登山の拠点である「御池」に到着します。ここにはクルマが結構な台数ありました。こここのルートの最高点となります。ここからは、奥只見湖の尾瀬口船着場まで標高差750mの下りの急坂。路面はいいので気持ちよく下れますが、1~1.5車線程度の狭路が多いので対向車注意です。慣れないクルマは結構膨らんでくるので…。

 やがて奥只見湖船着場に出ますが、ここは通過。ここからは、奥只見湖(銀山湖)を右手下に見下ろしながら、延々と続く屈曲路を銀山平まで進みます。奥只見湖の西端に位置する銀山平にも船着場があります。同じ湖ですから、当然標高差はありませんが、この道には標高差のある峠が三つほどあります。

 カエデの葉のような形状の湖岸に沿った道が付けられているので、尾瀬口と銀山平の直線距離は8kmほどですが、道のりは28kmになります。すぐそこの対岸に見える場所までに行くのに、結構な距離を要したりします。圧倒的な景色に気分は爽快ですが、延々と続くワインディングには、相当な屈曲路フェチでも満腹になると思います。

◇奥只見湖
https://niigata-kankou.or.jp/spot/7593
https://www.iine-uonuma.jp/photo_spot/natural_landscape/okutadamiko/

直線距離8キロメートル…実際に走る道のり28キロメートル!

 この道々の様子は、大変にワイルドな様相ですので、しっかりと写真に収めればよいのですが…。ワタクシの悪い癖で、走りに夢中になっちゃうんですよ…。途中で停まりたくない気持ちが上回っちゃうんですねえ。
 素晴らしい景観なのに写真撮影をしていない。
 なんとブナ平から枝折峠まで写真ゼロ…。
 自分のような人間は自動撮影カメラをセットしておいたほうがいいかもしれませんね。


 銀山平船着場を過ぎてしばらくすると右折して銀山平トンネル(シルバーライン)の案内があります。このトンネルは電源開発のために作られたもので、味もそっけもない数十キロ続くトンネルです。クルマで通行したことはありますが、ここは二輪車通行禁止です。

 直進して枝折峠への道へ入ります。ここも素敵に屈曲した細い山道。ただ標高差は300m程度です。大展望が評判の枝折峠でひと休み。

 枝折峠(11:15-11:30)

枝折峠
https://niigata-kankou.or.jp/spot/10638

上  枝折峠には立派なお手洗いあり。案内板もあります。
中  越後駒ケ岳の登山口。百名山狙いの登山者の車多数。
下  峠の駐車場と山麓の湯之谷、魚沼市方面の展望が見事

 この枝折峠の道ですが、20年くらい前まではかなりの区間がダートであり、二輪通行禁止でもありました。確か15年ほど前に二輪車の通行が可能となり、解禁当時早速乗り入れました。その時はすでに15年来の相棒であったZZ-R1100(C1)でした。あのカタチでありながらも、ダートでも何の不安もなかったことに、あのバイクがいかに乗りやすい名車であったかを今更ながら思います。

 ここからは延々と下りの道です。屈曲路の下りですが、路面状況はよく道幅も徐々に広くなっていきます。人里近いことを感じる道となり、道なりに進めば小出市街に出ることができます。今回は町中に出る前に街道沿いにあった「心亭」というお蕎麦屋さんで昼食をいただきました。お土産も調達。(12:15-12:45)

枝折峠からの下り道。路面はとてもいいです。 
心亭。おいしいおそばをいただきました。

◇心亭
 https://www.yunotani.or.jp/%e5%bf%83%e4%ba%ad.html

 

 さてさて…。 まだお昼回ったばかりじゃん…。
 その後の自宅のある岡谷までのルートとしては、小出ICから長岡JCT経由、北陸道上越JCTから長野自動車道へ回るのが一番効率的です。他には関越を南下して藤岡JCTから上信越自動車道に回って佐久ICからのルートも取れます。しかし…、どこかのおバカさんはワインディングロードの走りにまだお腹一杯になっていないようで、小出からも峠越えの県道をチョイスしながら十日町、津南と経由しました。津南では「…左折すれば秋山郷から奥志賀林道走って志賀高原経由で帰れるなあ…」との不埒な思いもアタマに浮かびましたが、同時に家内の顔もアタマに浮かびましたので、秋山郷へと迷うことなく栄村経由で飯山市に入り給油〔14:30  飯山市シェルで給油25ℓ〕。   

 飯山ICから高速利用して、日の高いうちに無事帰宅いたしました。
 秘境テイストを満喫できた旅でした。ありがとうございました。

前日と本日の走行ルートです。

 こうして、昨年晩秋と今年春先、企図していながら通行不能で2度までも引き返すことになった国道352号線と252号線をつなぐルートを走ることができました。奥只見や会津の山々を巡るこのルート。かつてと様相が変わっているところも変わらぬところもありましたが、秘境テイストを味わいながら快走できるルートでした。
 今回の総走行距離は680㎞ほど。今回は自宅夕刻発の長岡前泊での回遊でしたが、往復しっかりと高速を利用すれば、私の暮らしている諏訪辺りからならば十分日帰りは可能です。
 でも、ゆっくりした味わいを求めて走りたいならば、檜枝岐近辺のキャンプ場で一泊すると楽しいでしょうね。