GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

志賀高原道路(朝練?) 奥志賀林道・雑魚川林道から秋山郷   十日町経由南魚沼市 鈴木牧之記念館

◇自宅発〔5時15分〕
 早朝ゆえ静かに静かに自宅を出発。岡谷インターから長野自動車道を中野インターまではあっという間、中野市内の走行もまだ出勤時間混雑の前なので快適なものでした。      

 湯田中温泉街を左手に見ながら志賀高原への道へと入ります。スキー、トレラン、登山、そしてツーリングと様々な場面で親しもを与えてくれる志賀高原道路です。自宅から至近(アクセス時間約15分)のhomeロードのビーナスラインはもちろん最高ですが、志賀高原道路も本当に素晴らしい道です。様々なバリエーション(舗装路・ダートの選択、継続して走れる道の選択、植生の変化等々)においては、ビーナスラインよりも幅と懐が深いように感じています。
 そんなことを思っているうちに志賀高原のまだまだ入り口の琵琶池、丸池に到着しました。〔6時45分〕
 ここまで自宅から1時間半ほどです。ひっそりと静かな丸池のほとりで一服。

志賀高原のまだ入り口に位置する丸池。木々の間から朝日が眩しく降り注ぎます。ひっそりと静まり返った志賀丸池の朝です。

 この日は、まだ夏の名残が濃く感じられる陽気でしたが、早朝の志賀高原はさすがに肌寒さも感じられました。横手山経由草津への道と分かれて、焼額・奥志賀方面に向かいます。先日(8月3日)トレラン練習で岩菅山稜線を走った時以来の訪問です。あの日もひっそりとしていましたが、一ノ瀬スキー場あたりも本日も実に静かなものでした。スキーシーズンには賑わうのですがね。しかし、それも一時の喧騒を思うと、最近は静かなものだと感じます。
 じきに奥志賀高原スキー場の駐車場に到着。〔7時10分〕

お気に入りのゲレンデ・奥志賀高原スキー場の駐車場にて。
左手の山並みは先日トレラン練習で走った岩菅山の稜線

 ここは志賀高原にあまたあるスキー場の中でもお気に入りのゲレンデです。少々奥まったところにあるのですが、雪質、景観、落ち着いた客層など秀逸なお勧めゲレンデです。先日トレランした岩菅山方面の景色が朝日の中に美しく浮かび上がっていました。
 
◇奥志賀高原TOP【公式】

 志賀高原の一番奥に存在するスノーリゾート
 http://www.okushiga.jp/

 この先をしばらく進むと、奥志賀林道入口のゲートがあります。林道とは名ばかりで、立派な舗装がされていますので、狭路であることと対向車に気を配れば、ロードモデルでもタイヤでも問題ありません。私もかつてはVF750 でもZZ-R1100でも何度も通っています。まあ、VFの頃はまだ一部ダートでしたけれど…。
 木漏れ日の温かい林間の道を堪能しながら進んでいきます。地元の方の軽トラのほかには誰も行き会うこともありませんでした。
 
◇奥志賀林道
https://www.bikejin.jp/column/touring-15369/
◇最新・村内の道路情報について - 長野県 栄村
http://www.vill.sakae.nagano.jp/docs/964.html
◇アクセス交通情報 【公式】栄村秋山郷観光協会
http://sakae-akiyamago.com/access/

 奥志賀林道は途中で、木島平村野沢温泉方面への道と栄村方面への道への道と分岐します。木島平・野沢温泉方面への道も楽しめる道です。本日は栄村方面へ向かいます。ここらあたりから、林道は「雑魚側林道」と呼ばれる道となります。こちらも立派な舗装林道です。
 谷沿いに走っていた道も段々に高度を上げていきます。やがて右手の谷ははるか下となり、行くて右手奥に栄村方面を見下ろすような場所も通過していきます。

屈曲した林道の途中から秋山郷方面を見晴るかすことができます。

 やがて林道は鳥甲山登山口(ムジナ平登山口)に至ります。〔7時50分〕
ここには2台の車が駐車してありました。

◇鳥甲山 【Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A5%E7%94%B2%E5%B1%B1

鳥甲山登山口です。車が2台駐車していました。

 登山者があるのでしょう。実は、私も今から38年前の丁度今頃、一人で日帰り登山をしたことがあります。その頃暮らしていた長野市の住宅から、高速道がまだない時代でしたので、北国街道に車を走らせて、飯山、津南経由で秋山郷に入りました。和山温泉の宿に駐車させていただいて、中津川に張られたワイヤーの「籠渡し」で対岸に渡ってこの登山口に来ました。結構な急登ではありましたが、登り自体はその頃は何でもありませんでした。しかし…調子に乗っていたのですね。下山で大失敗をしてしまったのです。かつてこの山には赤嵓沢の右手(山頂から見て)の尾根に登路がつけられていたようなのですが、そこを下山するつもりでかすかな踏み跡をたどっていくうちにねどういうことか沢を下っていく状況になってしまいました。「知らない沢を下る」ということは、犯してはならない鉄則のひとつです。過去のいくつもの事例を学び、自分もそのことは承知していました。しかし、その頃の自分は「大抵のところは下れる」という自信がありました。確かに様々な場面に対応して対処してきた経験はありました。しかし、それはザイルやピッケルなどの装備をしっかりと所持している時のことです。この日はそれらの装備など一切ないばかりか、運動靴に短パン、丁度今どきのトレラン如きのいでたちでした。最初は穏やかでどんどん下れると思った沢でしたが、小さな枯れ滝が現れ、それを下ってしまうと、次には大きな枯れ滝が姿を見せました。ある程度下ってしまうともう登り返すことが困難になります。何とか下りきってしばらく行くと、行く手には空間しか見えず、立ち止まって下を覗くとすっぱりと切れ落ちた岩壁が目に飛び込んできました。絶望的な景色でしたが、それでもじっくりと目を凝らすと、可能性のあるラインが見えてきました。進退窮まっていましたが、ここは乾坤一擲とこれまでの経験を総動員してこの岩壁を下りきりました。しかし、その後には今度は傾斜の強い不安定な雪渓が現れました。この標高でこの時期によく雪渓が残っているものだ…なんてことを思っていたことを思い出しますが、それどころではありません。登山靴を履いていてピッケルを持ってさえいれば、その頃の自分には何てこともなかったのですが、運動靴に短パンです。運動靴ではキックステップができませんし、滑落したら止める術はありません。それでも行くしかなく、拾った木や石を使って慎重に下りきりました。その後も危なげな滝が数個出てきましたが、なんとかやり過ごしてようやく堰堤に出ました。その時の生き延びたという安堵感と強烈な反省の念…。今も時々思い返して戒めとしています。

正面の沢が、進退窮まりかけながら、
命からがらなんとか下降した現場です。

 そこからわずかに進むと、秋山郷最奥の切明を経由して和山等の集落へと続く道(こちらがメインルート)を右手に分けます。多くの場合そちらを通るのですが、今日は左手へ向かい、先ほど申し上げた大反省登山の時に命からがら下ってきた沢の出合を見ていこうと思います。

 さらに暫く進むと、はるか下の中津川渓谷を隔てて、対岸に大きく苗場山を望む小広い場所に出ます。小赤沢の集落からの登山ルートがあります。結構な上部まで車でアクセスできるルートのようで、100名山狙いの登山客には人気ルートだと聞いています。

苗場山方面の景観です。今日は裏側の新潟県側からも見上げることになります。

中津川の深い谷とのコントラストが見事な苗場山の眺めです

 今回の道は旧鳥甲牧場の脇を通るルートです。いくつかの道が錯綜していて、取り違うと面倒なことになります。GS-Aで下りのUターン不可なシングルトラックで行き止まりだったら「詰み」だと思います。軽量なオフロードバイクであれば、サイドスタンドターンという奥の手がありますが、GS-Aのサイドスタンドはそれが可能なのでしょうか? 誰かやったことある人いたら教えてください。

 

 下るに従い、段々に人家も見えてきました。立派な道も現れ、眼下に信濃川のゆったりとした流れと稲穂の色づいた広大な田の景観が目の前に広がりました。〔9時10分〕

信濃川千曲川も県境を越すと名称が信濃川になります)の
ゆったりした流れと
色づいた稲穂の揺れる田が広がる津南方面の景観

 国道117号線に出て津南・十日町方面に向かいます。その後は魚沼の方へと向かい、北越雪譜の作者として知られる「鈴木牧之記念館」を訪ねようと思っていました。そして、その付近に整備されている「牧之通り」にも訪ねてみたいと思っていました。
こちらの道も何度も走っています。最短は十二峠を越えていくものですが、本日は別の峠越ルートを選択しました。こちらも民家の点在する中に伸びている快走ルートです。
 さて、もうひとつの目的地として、自分のフェイスブックに「知り合いかも」に頻繁に登場してくる「しあわせ食堂 つばめの巣」という和洋食堂を訪ねることもありました。名称もユニークですし、子ども食堂に関する取組みなどをされているなど、地域への貢献にも関心を持つオーナーさんなのかなとの関心もありました。
 峠越えでもなんでもGS-Aはいつでも快走してくれますので、お昼の時間までには余裕が有り過ぎてしまいました。お目当ての食堂のお昼の営業開始は11時30分から。早くに着きすぎました。仕方なく湯沢の方まで行ってみたり、近くの道の駅で水分補給をして休憩がてら、近隣の情報を集めたりして時間を調整しました。
◇「南魚沼 雪あかり」
https://niigata-kankou.or.jp/spot/10233

 さて、時間も丁度良くなりました。お目当ての「しあわせ食堂 つばめの巣」さんに向かいましょう。開店前10分くらいに到着。10台程度駐車できる駐車場の一番奥にGS-Aを停めて暫く待ちます。まだほかのお客さんはありませんでしたが、やがて2台ほど車がやってきて私と同じく開店を待ちました。時間とともに女将さんが「おまたせしました。どうぞ!」と声をかけてくれて、カウンター席に案内されました。

国道に面したところにありますが、看板も幟旗も控えめなので、
初見では見落としてしまうかもしれません。

 メニューを拝見すると力を入れているのが越後牛を使った肉料理である様子。ステーキやハンバーグ、ビーフシチューなど美味しそうな料理がラインアップされています。さて、私のオーダーですが、最近は肉料理の重いのは胃への負担が少々大きいのです。スキーの昼食の定番中の定番であるカツカレーが重くなってきていることを感じる昨今。そんなわけで、この日は「越後牛と3種の肉のよくばり丼」という一品です。かなりのボリュームがあるものだったのですが、肉の部位といい味付けといい、重さを感じさせない一品でした。素直に美味しかったです。肉も地元越後牛ということと同様、添えられていた野菜類も地元産でしょう。そして、なんといっても白飯の美味しいこと。これは間違いなく正真正銘「魚沼産コシヒカリ」です。大当たりの昼食でした。〔11時30分~12時頃〕

越後牛と3種の肉のよくばり丼。
このボリュームとクオリティで税込み1512円。おススメです。

◇「しあわせ食堂 つばめの巣」
 https://snack-bar-3804.business.site/

 

 食後、「鈴木牧之記念館」の場所を尋ねたところ、お店にいた常連さんと思われるお客さんがたいへん丁寧に説明してくださいました。すぐ近くにあるようです。
お礼を述べてお店を後にしました。店舗前の国道を右折して数キロ、教えていただいた通りに進んでいくと「牧之通り」の看板がありました。案内に従って進むと、とてもゆったりした道幅の左右には、雁木のある古風な日本家屋の店舗の並ぶ、大変に風情ある街並みでした。建物はまだ比較的新しいものが多く、昔ながらの建物という訳ではありませんが、とても落ち着きと風格ある印象を受けました。これは雪の季節にも訪れてみたいですね。バイクでは無理でしょうが。
〔12時15分〕

 

雁木のある情緒豊かな街並みが続いています。
雪の季節に再訪したいなあ。バイクでは無理ですが。

◇牧之通り 【牧之通り - 塩沢商工会】
https://shiozawasho.jp/kankoutokusan/bokushidouri/

 続いてはお目当ての「鈴木牧之記念館」を訪ねました。「北越雪譜」という雪国の暮らしを紹介し、江戸でベストセラーになったという作品の作者として知られます。「秋山紀行」という秋山郷の生活を紹介した作品も遺していて、私もすこしばかりですが関心を持っていた人物です。雪国の暮らし、民間伝承されてきた地方独特のしきたりや風習や言い伝え、奇聞や怪談話など、市井の人々の生々しい暮らしの様子が息づく記述は、現代の私たちの暮らしに流れていることを感じることも多々あり、興味関心を引き付けるものがあると思います。この日、数人の来訪者がありましたが、それでも静かなもので、ゆっくりと鑑賞することができました。それにしても、若い時に思い立ってから、実際に出版されるまでに40年の年月を要するということでした。その時代においては、一般市井の民衆が何事かを発信していくことが、いかに困難なことであったのかということを思います。現代は誰もが、いつでもどこでも、世界に向けて様々なことを発信できるのですから。このようなどうでもよいツーリング日記も、誰が目にしてくれるかどうかは知らぬところですが、好き放題発信できることを思えば、テクノロジーの発達に感謝したいと思うばかりです。
〔12時30分~13時30分頃〕

地元の皆さんに大切にされていることが伝わります。
ゆっくり寛いで鑑賞することができました。

◇鈴木牧之記念館
 http://www.6bun.jp/bokushi/

 記念館をゆっくりと鑑賞して、同館発行の「北越雪譜」と「秋山紀行」の冊子を購入しました。同館が地域の人々に大切にされていることも、よく伝わってきました。
 さて、帰途に就くことといたしましょう。塩沢石打から関越道南下経由にするか、北上して長岡から北陸道経由にするか、再度志賀高原に出るか等々様々なルートが頭に浮かびました。まあ、GS-Aですと距離は全く問題ないのですが、時間と費用については多少考慮すべきところでもあります。そんなわけで、早めに帰宅して軽く洗車もして締めくくりたいとの思いから、津南経由で飯山に出て、そこから長野自動車道で一気に帰宅することにいたしました。

 十二峠を越えると「清津峡」という景勝地の入り口を通ります。今回は立ち寄りませんが、ここもおススメの場所です。本日は見送って十日町を経て津南町に出ます。国道117号を西走し、新潟県から長野県に入ります。栄村を通過して飯山市へ。ここで「給油してね」のアラームが点灯。GS-Aの巨大タンクをもってすれば自宅までぎり持つか…と思っていましたが、ガス欠も嫌だし、エコ運転厳守もできっこないし…。出光のスタンドが見当たらないので、飯山インターからの長野道をあきらめて中野市の出光で給油。給油量は24リットル。うーん残が5リットル程度だったか…。強行していたら高速上でガス欠だったかな。

 その後、往路と同じく中野インターから長野自動車道へ。ここに入ればもうあっという間。姨捨SAで水分補給とお手洗いタイムを取りました。

 岡谷自宅到着16時15分頃。一服ののち洗車してGS-Aの頑張りを労い、本日のツーリングを無事終了しました。

 本日の走行距離 431Kmでした。

BMWコネクテッドによる走行ログの一画面。
走行時間と距離。左右のバンク角まで出てきます。
右バンクの67度というのは…。ダートで遊んでフルカウンター当てた時のものだな。


◇中野出光給油 24ℓ 14時50分