GS1250ADV SUGURU’s DIARY

還暦超のアルピニスト・バイク乗りの極めて平凡な日常

雲の如く高く くものごとくかがやき 雲のごとくとらわれず

  昨日(4/20)は飯山城址公園で観桜の後、信越国境の峠越えで高田城址公園(もう桜は散っていました)の高田図書館内の「小川未明文学館」を訪れました。

 「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介坪田譲治とともに「児童文学界の三種の神器」と評されている小川未明は、明治15年(1882年)4月7日に上越市高田五分一町(現・幸町)で生まれました。今から140年前のことになります。本名は小川健作。雅号「未明」は師である坪内逍遥が付けたもので、正しくは「びめい」と読みます。

 父親が上杉謙信公をまつる春日山神社を造るために奔走していたこともあり、未明も春日山に暮らしました。高田中学(現高田高校)を経て早稲田大学英文科を卒業。坪内逍遥の指導を受け小説や童話を執筆することになります。

 卒業後早稲田文学社に入り、島村抱月の指導のもと「少年文庫」編集を通して新しい童話運動に参加していくことになります。一般的には、童話作家・児童文学家としての活躍が強調されていますが、元来は小説家として文壇に現れ、約650の小説を残しています。約50年の作家生活で、童話が約1,200、随筆や評論も約1,000点に及んでいます。

 幼少時からいくつかの作品に出会う機会がありましたが、やはり一番印象的なのは「赤い蝋燭と人魚」ですね。子ども心には何か艶めかしい雰囲気や何とも言えない不思議な感覚に引き込まれる作品です。子ども時代に出会った時の感想としては「欲に目がくらんでしまった老夫婦が罰をうけた話」であったように思いますが、長じて読み味わってみると実に様々な解釈を持つことができる作品であること、人間誰しもが持つ暗い部分を照らした作品であることに思い至ります。

 「野ばら」も大好きな作品。授業で教材としたことも何度かあります。登場する国境を守る老人と青年…二人の兵士は「戦争」という自らが判断を下すことのできない行為によって引き裂かれます。戦地へと向かう青年とそれを見送る老兵士。この作品からは、友情と信頼の大切さ、戦争のない世界を希求することを感じる作品だと思います。

 「牛女」も好きな作品のひとつです。自分の身体が不自由であるからこそわが子を大切に想う母と、その息子との情愛を描いた話です。このお話に出てくる雪形が見える山は南葉山(上越市妙高市にまたがる山塊。北から青田難波山、籠町南葉山、猪野南葉山)だと言われています。青田南場山(950m程の山)ということですが、この山にはスキーを担ぎ上げて山頂から滑降したことがあります(…なんのこっちゃ?)。

 表題の言葉は、春日山神社にある未明の詩碑にあるものです。

春日山神社にある未明の詩碑です。雲の如く…憧れてしまいますね!

 雲の如く… そんな姿にあこがれてしまいますね。

 今年は未明生誕140年にあたり、上越市では様々なイベントを計画しているようです。文学館で案内パンフレットなどをいただいてきました。魅力的なイベントがたくさんあります。今年、信州諏訪から上越市へ、日本海へとADVが走る機会が、これまで以上に増えそうです!

館内の様子です。幅広い世代に親しみやすい構成になっていると感じます。

「野ばら」の作品世界をイメージした展示品がありました。